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残業代の翌月払いは法律違反? 請求する方法と注意点

2023年02月16日
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残業代の翌月払いは法律違反? 請求する方法と注意点

東京都が公表している、労働相談の状況に関する統計資料によると、労働者からの相談内容項目のうち賃金不払いに関する相談は、2388件でした。残業代も賃金の一部ですので、この相談内容には残業代の不払いも含まれていると考えられます。

残業が多かった月は会社から残業代の支払いを翌月払いにすることを提案されることがあるかもしれません。きちんと払ってくれるなら問題ないとして会社の提案に応じてしまう労働者の方もいるかもしれませんが、そもそも残業代を翌月払いにすることは法律上問題がないのでしょうか。

今回は、残業代の翌月払いの問題点と未払い残業代を請求する方法について、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代の後払いは違法?

残業代の後払いは、法律上問題がないのでしょうか。

  1. (1)残業代の支払い時期を定めることは可能

    就業規則や賃金規定などで賃金(残業代)の支払い時期に関する定めが設けられることがあります。たとえば、「当月分の賃金(残業代)は、翌月の○○日に支払う」というような定めです。

    このような定めがあった場合には、ある月に発生した残業代を翌月の支払日に支払ったとしても問題ありません。決められた支払い時期に賃金の支払いをしているため、賃金支払いに関するルールには反しないからです。

  2. (2)支払い時期を超えた残業代の後払いは違法

    残業代の支払い時期を超えて残業代が翌月払いになった場合には、労働基準法24条が定める「賃金全額払いの原則」に反し、違法な支払い方法となります。賃金全額払いの原則について詳しくは後述しますが、簡単にいえば所定の支払日に賃金全額を支払わなければならない原則のことをいいます。

    残業代も賃金に含まれますので、基本給だけ支払って、残業代のみを翌月払いにすることは認められません。また、残業代の翌月払いと同様に、残業代をボーナス払いにすることも、賃金全額払いの原則に反して違法となります。

    残業代を翌月払いにすることは、たとえ翌月に残業代が支払われたとしても、支払われるまでの間は残業代の不払いの状態になります。残業不払いがあった場合には、労働基準法違反として、事業主に対して、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

  3. (3)支払期日を過ぎた残業代には遅延損害金が発生する

    残業代の翌月払いによって、本来の支払期日を過ぎてしまうと、未払いの残業代に対して遅延損害金が発生します。遅延損害金の利率は年3%とされており(民法404条)、退職後であれば年14.6%となります(賃金の支払の確保等に関する法律6条)。

2、賃金の支払いに関する5つの原則

賃金は、労働者の生活にとって非常に重要な要素であることから、労働基準法24条では、賃金支払いに関して、以下の5つの原則を定めています。

  1. (1)通貨払いの原則

    賃金を支払う場合には現金で支払わなければならず、現金以外の現物での支払いは認められません。ただし、労働者の同意があれば、現金払いではなく銀行振り込みなどの方法で支払うことも可能です。

  2. (2)直接払いの原則

    賃金は、労働者本人に直接支払わなければなりません。労働者が未成年者であったとしても、労働者本人に支払うことが必要です。

  3. (3)全額払いの原則

    賃金は、全額を支払わなければなりません。会社の経営状況が苦しかったとしても、分割払いや残業代の翌月払いなど、賃金の一部の支払い猶予は認められません。
    また、所得税や社会保険料など法令で定められているものを除き、賃金から強制的に控除することはできません。

    なお、固定残業代制度が採用されている企業では、実際の残業代を上回る金額が固定残業代として支払われていれば、全額払いの原則に反することはありません。

  4. (4)毎月1回以上払いの原則

    賃金は、毎月必ず1回以上、労働者に支払わなければなりません。そのため、2か月に1回、3か月に1回の支払いは認められません。
    なお、ボーナスや臨時に支払われる賃金については、この原則の適用外です。

  5. (5)定期払いの原則

    賃金の支払いは、一定の期日を定めて、定めた日に支払わなければなりません。労働者に賃金の支払日を明らかにする必要がありますので、就業規則や賃金規定などで、翌月15日支払い、毎月末日支払いなど賃金の支払日を定めておく必要があります。

3、未払い残業代の請求方法

未払いの残業代がある場合には、以下の方法で会社に請求していきます。

  1. (1)未払い残業代に関する証拠収集

    会社に対して未払い残業代を請求するためには、労働者の側で未払い残業代が発生しているということを証明しなければなりません。そのため、まずは、未払いの残業代が発生しているということを裏付ける証拠を収集します。
    未払い業代を立証する証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

    • タイムカード
    • 勤怠管理ソフトなどのデータ
    • 業務日報
    • 就業規則
    • 雇用契約書
    • 賃金規定
    • 給与明細
    • パソコンのログデータおよび残業中のメールのやり取り
    • 入退室記録


    上記のような証拠は、会社を退職してからでは入手が困難になるものもありますので、残業代請求をお考えの方は、在職中から未払い残業代に関する証拠を集めておきましょう

  2. (2)未払い残業代の計算

    証拠に基づいて、実際に未払いとなっている残業代の計算をしていきます。残業代の計算は、以下のような計算式によって行います。

    残業代=1時間あたりの賃金×割増率×残業時間


    なお、法定労働時間を超えて残業をした場合および深夜労働(午後10時から午前5時の労働)をした場合には、25%の割増率が適用され、休日労働の場合には35%の割増率が適用されます。

  3. (3)会社に対する未払い残業代の請求

    未払い残業代の金額を計算したら、会社に対して、未払い分の残業代請求を行います。まずは、会社との交渉によって解決を図るのが基本となります。残業代請求をした証拠を残すためにも、内容証明郵便を利用して書面によって請求を行いましょう

    内容証明郵便が届いた後は、未払い残業代の有無および金額、支払い方法、支払い時期などについて会社と話し合いを進めていきます。話し合いの結果、会社との間で未払い残業代の支払いに関する合意が成立した場合には、口頭による合意で終わらせるのではなく、必ず合意書を作成するようにしましょう。

  4. (4)交渉での解決が困難な場合には労働審判・訴訟

    会社との話し合いでの解決が困難な場合には、労働審判の申し立てまたは訴訟提起を行います。労働審判は、原則として3回以内の期日で終了しますので訴訟に比べて解決までの期間が短いのが特徴です。労働審判も話し合いによる解決を基本としますので、法律にとらわれない柔軟な解決が可能な手続きといえます

    しかし、審判に異議がある場合には、裁判所に異議の申し立てをすることによって、審判の効力は失われ、自動的に訴訟に移行します。そのため、合意による解決が困難だと予想される場合には、初めから訴訟提起をしたほうがよいケースもあります。
    また、労働審判の場合には、訴訟に比べると、和解金額が低くなる傾向にありますので、その点についても考慮して、適切な手続きを選ぶ必要があります。

    訴訟では、労働者の側で残業をしたことおよび残業代の額を主張立証していかなければなりません。非常に専門的な手続きになりますので、裁判所に未払い残業代の支払いを認めてもらうためには、弁護士のサポートが不可欠といえます。

  5. (5)残業代請求をする場合には時効に注意

    残業代を請求する権利については、一定期間が経過すると時効によって権利が消滅してしまいます。法改正によって、令和2年4月1日以降に発生する残業代については、3年で時効になってしまいますので、未払い残業代がある場合には、早めに対応することが重要となります。

4、残業代請求を弁護士に依頼するべき理由

残業代請求をお考えの方は、弁護士に依頼をすることをおすすめします。

  1. (1)残業代の計算は非常に複雑

    未払い残業代を請求する際には、正確にその金額を計算しなければなりません。しかし、残業代の計算は、非常に複雑なものとなっていますので、法律の知識と正確な理解がなければ、適切に行うことはできません。

    一般の方では、残業代計算をすることが困難なことが多いですので、弁護士に依頼をして残業代計算を行ってもらうとよいでしょう。

    計算方法や条件によって、残業代の金額が大きく変わる可能性があります。会社が提示した残業代の金額は会社に有利な条件によって計算されていることがありますので、注意が必要です。

  2. (2)会社との交渉を任せることができる

    残業代請求を労働者個人で行う場合には、会社との交渉や書類の作成、証拠の収集などをすべてひとりで行わなければなりません。交渉力に圧倒的な差がある会社を相手にするのは、精神的にも大きな負担が生じます。

    弁護士であれば労働者に代わって会社と交渉をすることができますので、精神的な負担を軽減し、適切な内容で交渉を進めてもらうことが可能です。ひとりでの対応に不安を感じている方は、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

  3. (3)労働審判や訴訟に発展する可能性がある

    未払い残業代に関する争いは、すべてが話し合いで解決することができるわけではなく、労働審判や訴訟に発展することも少なくありません。

    話し合いであれば、ある程度個人でも対応することができますが、労働審判や訴訟にまで発展してしまうと、知識や経験のない個人では手続きを進めていくことが困難な場合があります。弁護士であれば労働審判や訴訟に発展したとしても引き続き対応してもらうことができますので、安心です。

5、まとめ

残業代も賃金の一部ですので、毎月の給料の支払日に全額が支払われなければなりません。残業代のみ翌月払いとするのは、賃金全額払いの原則に反して違法となります。

未払いの残業代がある場合には、弁護士のサポートによって残業代の回収が可能となりますので、まずは、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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