バイトの有給休暇|いつからもらえる? 日数は?
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アルバイトであっても、一定期間以上継続勤務している場合には、労働基準法に基づいて年次有給休暇を取得できることがあります。しかし、会社が有給休暇を付与しない場合は、弁護士を通じて付与を求めることも検討しましょう。
本コラムでお伝えすることは、以下の3つです。
・ アルバイトでも有給休暇は取得できる
・ アルバイトの有給休暇取得に関する法律上のルール(時期や条件など)
・ 勤務先が有給休暇を付与しない場合の対処法
アルバイトの有給休暇取得について知りたい、有給休暇の取得を会社から拒否されていてお悩みの方などに向けて、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。
1、アルバイトでも有給休暇は取得できる
「有給休暇」とは、労働基準法に基づいて使用者が労働者(従業員)に対して付与すべき有給の休暇です。
「ノーワーク・ノーペイの原則」により、労働していない時間帯については賃金が発生しないため、休暇は無給であるのが原則です。しかし、一定期間以上継続勤務した労働者に対しては、例外的に有給休暇が付与されることになっています。
労働基準法は正社員だけでなく、すべての労働者に対して適用されます。アルバイトも、労働基準法の適用対象です。したがってアルバイトであっても、労働基準法に定められた条件を満たせば、有給休暇が付与されます。
2、アルバイトの有給休暇はいつから取得できる? 条件は?
アルバイトに対しても正社員などと同様に、雇い入れの6か月後およびその後1年ごとに有給休暇が付与されます。有給休暇が付与されるのは、対象期間における全労働日の8割以上出勤したアルバイトです。
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(1)アルバイトに有給休暇が付与される時期
アルバイトに有給休暇が付与される時期は、初回は雇い入れの6か月後、その後は1年ごと(1年6か月後、2年6か月後……)です。
たとえば2023年4月1日に雇い入れられたアルバイトには、以下の時期に有給休暇が付与されます。
- 1回目:2023年10月1日
- 2回目:2024年10月1日
- 3回目:2025年10月1日
なお、有給休暇は付与日から2年以内に取得しなければ、時効によって消滅してしまいます(労働基準法第115条)。労働基準法に基づく付与日数を確認した上で、時効期間内に確実に有給休暇を取得しましょう。
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(2)アルバイトに有給休暇が付与される条件
アルバイトに有給休暇が付与されるのは、対象期間における全労働日の8割以上出勤した場合に限られます。
判定に用いられる対象期間は、初回として付与される有給休暇については雇い入れの日から起算して6か月間、2回目以降に付与される有給休暇については付与日の直前1年間です。
(例)
アルバイトとして、2023年4月1日に雇い入れられた場合
- 1回目の有給休暇
付与日:2023年10月1日
付与条件:2023年4月1日から2023年9月30日までの全労働日の8割以上出勤したこと - 2回目の有給休暇
付与日:2024年10月1日
付与条件:2023年10月1日から2024年9月30日までの全労働日の8割以上出勤したこと - 3回目の有給休暇
付与日:2025年10月1日
付与条件:2024年10月1日から2025年9月30日までの全労働日の8割以上出勤したこと
- 1回目の有給休暇
3、アルバイトの有給休暇日数・支払われる賃金額の計算方法
アルバイトに対する有給休暇付与日数(有給日数)は、所定労働時間・所定労働日数と継続勤務期間に応じて決まります。
有給休暇を取得する日の賃金額は、平均賃金などを用いて計算します。
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(1)フルタイム労働者とパートタイム労働者
有給休暇の付与日数の計算方法は、フルタイム労働者とパートタイム労働者で異なります。
フルタイム労働者の条件は、以下のとおりです。フルタイム労働者に当たらない労働者は、パートタイム労働者となります。
フルタイム労働者の条件 - ① 1週間の所定労働日数が5日以上
- ② 1年間の所定労働日数が217日以上
- ③ 1週間の所定労働時間が30時間以上
アルバイトはパートタイム労働者に当たるケースが大半と考えられますが、年間を通じてたくさんのシフトに入った場合には、フルタイム労働者に当たることもあり得るのでご注意ください。
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(2)労働者に対して付与される有給休暇日数
フルタイム労働者に対して付与される有給休暇の日数は、継続勤務期間に応じて決まります(労働基準法第39条第1項、第2項)。
<フルタイム労働者の有給休暇の日数>
継続勤務期間 付与される有給休暇の日数 6か月 10日 1年6か月 11日 2年6か月 12日 3年6か月 14日 4年6か月 16日 5年6か月 18日 6年6か月以上 20日
パートタイム労働者に対して付与される有給休暇の日数は、継続勤務期間と所定労働日数に応じて決まります(同条第3項)。
1週間の所定労働日数 4日 3日 2日 1日 1年間の所定労働日数 169日以上216日以下 121日以上168日以下 73日以上120日以下 48日以上72日以下 継続勤務期間 6か月 7日 5日 3日 1日 1年6か月 8日 6日 4日 2日 2年6か月 9日 6日 4日 2日 3年6か月 10日 8日 5日 2日 4年6か月 12日 9日 6日 3日 5年6か月 13日 10日 6日 3日 6年6か月以上 15日 11日 7日 3日 ※1週間の所定労働日数と1年間の所定労働日数のうち、有給休暇の日数が多くなる方を用いて判定します。
なおアルバイトの場合、1週間または1年間のうちに入るシフトの日数が一定ではないことが多いです。この場合の所定労働日数は、基準日直前の実績を考慮して算出します。
<設例>- アルバイトとして、2023年4月1日に雇用された
- 2023年4月1日から2023年9月30日の勤務日数(実績)は52日
(理由)
6か月間(約26週間)の勤務日数は52日
→1週間の所定労働日数は2日(=52日÷26週間)、1年間の所定労働日数は104日(=52日×2)
→1週間の所定労働日数・1年間の所定労働日数のどちらを基準とした場合でも、継続勤務期間6か月に対応する有給休暇は3日 -
(3)アルバイトが有給休暇を取得した日の賃金の計算方法
アルバイトが有給休暇を取得した場合、その日について支払いを受けられる賃金の額は、以下のいずれかの金額を基準として計算します(労働基準法第39条第9項、労働基準法施行規則第25条)。
① 平均賃金
原則として、以下の方法で計算した平均賃金を支払います。
平均賃金=(対象期間中の賃金総額-控除すべき賃金)÷対象期間の総日数
対象期間:直前の賃金締切日以前3か月間。ただし、以下の期間を除く
- 業務上の負傷、疾病による療養のための休業期間
- 産前産後休業期間
- 使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間
- 育児休業期間、介護休業期間
- 試用期間
控除すべき賃金:以下の賃金
- 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金、退職金等)
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与等)
- 通貨以外のもので支払われた賃金で、一定の範囲に属しないもの(いわゆる現物支給)
② 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
時給制のアルバイトの場合、以下の金額によって有給休暇の日の賃金を計算することもできます。なお、日によって所定労働時間がバラバラである場合は、直近の勤務実績に基づいて合理的に所定労働時間数を求めます。
賃金=時給×その日の所定労働時間数
③ 健康保険法に基づく標準報酬月額の30分の1
労使協定で定められた場合に限り、健康保険法に基づく標準報酬月額の30分の1を基準として有給休暇の日の賃金を計算することもできます。
なお、健康保険の加入対象外であるアルバイトについては、特殊な方法によって標準報酬月額が計算されます。
なお、使用者は上記の方法を労働者ごとに選択できるわけではなく、あらかじめ就業規則などに定めた上で、その方法によらなければなりません(昭和27年9月20日基発第675号、平成11年3月31日基発第168号)。
4、勤務先が有給休暇を付与しない場合の対処法
勤務先の会社が適切に有給休暇を付与しない場合は、労働基準法のルールを説明した上で、そのルールに従って有給休暇を付与するように求めましょう。
特に、アルバイトにも有給休暇を付与すべき旨については、会社側が認識していないケースもあります。労働基準法の正しいルールを伝えれば、会社が取り扱いを改めて有給休暇を付与する場合があります。
それでも会社が労働基準法のルールを無視して有給休暇を付与しない場合は、弁護士を通じて有給休暇の取得を求めましょう。
弁護士が法的な観点から労働者の権利を主張すれば、労働基準法のルールに沿った有給休暇が付与される可能性が高くなります。未払い残業代の請求などその他のトラブルについても、弁護士に依頼すればまとめてサポートを受けられます。
有給休暇に関する会社とのトラブルは、お早めに弁護士へご相談ください。
5、まとめ
アルバイトも労働基準法に基づき、有給休暇を取得できる場合があります。もし適切に有給休暇が付与されていない場合は、弁護士を通じて会社に是正を求めることも検討しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、会社とのトラブルに関する労働者のご相談を随時受け付けております。有給休暇・未払い残業代請求・不当解雇など、幅広いトラブルについて実績がある弁護士が解決をサポートいたします。
有給休暇の取得を拒否されるなど、会社から不当な扱いを受けている労働者の方は、お気軽にベリーベスト法律事務所 北千住オフィスへご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています