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死亡前(生前)に預貯金を引き出すと相続に影響する? 注意点を確認

2022年05月09日
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死亡前(生前)に預貯金を引き出すと相続に影響する? 注意点を確認

東京都福祉保健局が公表している『人口動態統計年報(確定数)令和2年』よると、令和2年中における東京都の死亡者数は、12万1219人であり、そのうち北千住がある足立区の死亡者数は7197人でした。相続は人の死亡によって開始しますので、この統計資料からは、北千住でも毎年一定数の相続が発生していることがわかります。

ご家族が亡くなると、残された家族の生活や葬儀のために、まとまったお金が必要になることがあります。そのため、生前にまとまったお金を引き出そうと考える方も少なくないでしょう。しかし、被相続人の生前にまとまったお金を引き出すことは、その後の相続に影響を及ぼすおそれがありますので、慎重に対応する必要があります。

今回は、死亡前(生前)に預貯金を引き出す場合の注意点と死亡後に預貯金を引き出す方法などについて、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。

1、死亡前に預金を引き出すと相続に影響する?

ご家族(被相続人)が亡くなる前に、被相続人名義の預金を引き出すと、その後の相続に影響があるのでしょうか。具体的なケースに分けて説明します。

  1. (1)被相続人から生前贈与を受けた場合

    被相続人が、生前に相続人に対して財産を渡す「生前贈与」を行うために、相続人に依頼をして預金の引き出しを行うことがあります。

    被相続人からの委任を受けて銀行預金の引き出しをする行為自体は何ら問題なく、有効な贈与契約に基づいて贈与を受けたのであれば、贈与された預貯金は原則として相続財産に含まれることはありません。

    もっとも、相続人が多額の生前贈与を受けており、それが特別受益に該当する場合には、遺産分割の際に相続財産に持ち戻して計算されることがあります。また、生前贈与によって他の相続人の遺留分を侵害することになった場合には、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性もあるので注意が必要です。

  2. (2)被相続人のために引き出した場合

    被相続人の預金を引き出した相続人が、その預金を被相続人の生活費、施設利用料、入院費などの支払いに充てることがあります。
    このような理由で預金を引き出した場合、その預金が被相続人のために支出されていることが明白であれば、その後の相続に影響を与えることは基本的にはありません。

    ただし、被相続人の生活費などを考慮しても不相当な金額が引き出されている場合には、その後の相続において使途不明金として争いになる可能性があります

  3. (3)被相続人に無断で引き出した場合

    被相続人の同意を得ることなく、相続人が勝手に預貯金を引き出した場合には、遺産の使い込みであるとして、その後の遺産相続の際に問題になることがあります。

    権限なく預金を使い込んだ事案となれば、刑法上の窃盗や横領に該当する可能性があるでしょう。他の相続人は、各自の法定相続分に応じて不当利得または不法行為に基づき、預金を使い込んだ相続人に返還を求めることができます。

2、死亡前に預金を引き出す際の注意点

さまざまな事情により被相続人の死亡前に預金を引き出すことになった場合には、いくつか注意するべき点があります。

  1. (1)相続放棄ができなくなる可能性がある

    被相続人に多額の借金などがある場合には、相続放棄の手続きを検討することになります。しかし、被相続人の死亡前に引き出した預金の扱いによっては単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があるため、注意が必要です。

    単純承認とは、故人の財産をすべて相続することです
    被相続人の生前に引き出した預貯金を、被相続人の死亡後、相続人自身の生活費に使ってしまったり、被相続人の入院費や施設利用料の支払いに充ててしまったりした場合には、単純承認したとみなされてしまいます。
    そのため、被相続人の死亡前に預金を引き出す場合には、自己の財産と区別して管理するとともに、死亡後の支出については慎重に行うようにしましょう。

  2. (2)相続人同士でトラブルが生じる可能性がある

    被相続人の死亡直前に、葬儀費用や債務の支払いのために被相続人の口座から多額の預金を引き出すケースもあるでしょう。
    被相続人の死亡後、被相続人の残した財産は、相続財産として相続人の共有財産となり、遺産分割によって各相続人に分配されます。生前に引き出した預金についても同様であり、死亡後は、相続財産に含まれることになります。そのため、たとえ被相続人の債務の支払いなど相続人全員の利益のために使う目的だったとしても、他の相続人に相談なく預金の引き出しをおこなってしまえば、遺産の使い込みを疑われるリスクがあるため注意が必要です。

    どうしても引き出した預金を使う必要がある場合には、事前に他の相続人に相談をするとともに、後日使途を明らかにすることができるように領収書などを保管しておくことが大切です。

3、被相続人が亡くなった後に預貯金を引き出すことは可能?

金融機関は名義人が逝去したことを知ると、預貯金口座を凍結します。凍結されてしまった場合、預貯金はどうなるのでしょうか。

  1. (1)遺産分割前

    被相続人が死亡した場合には、被相続人名義の預貯金は相続財産として遺産分割の対象となります。そのため、遺産分割が終了するまでは、相続人が単独で預貯金を引き出すことはできないのが原則です。

    しかし、次のような方法をとることによって、例外的に遺産分割前であっても被相続人名義の預貯金の払い戻しを受けることができます。

    ① 預貯金の仮払い制度を利用する方法
    預貯金の仮払い制度とは、被相続人が死亡後遺産分割終了前に、金融機関から法定相続人が単独で預貯金の払い戻しを受けることができる制度のことをいいます。

    これまでは、遺産分割終了前は預貯金の払い戻しが認められておらず、葬儀費用など急な支払いに対応しなければならない事情がある場合には、非常に不都合でした。しかし現在では、民法改正によって新たに導入された、預貯金の仮払い制度を利用することが可能です。

    ただし、同制度を利用して払い戻しすることができる預貯金には上限があるので、次のうちいずれか低い方の金額しか払い戻しをすることはできません。

    • 死亡時の預貯金残高×その相続人の法定相続分×1/3
    • 150万円


    ② 家庭裁判所の保全処分を利用する方法
    遺産分割前に被相続人の預貯金の払い戻しをする方法には、家庭裁判所の保全処分を利用する方法もあります。

    家庭裁判所の保全処分を利用する場合には、家庭裁判所に遺産分割調停や審判が申し立てられていることが必要となりますので、上記の預貯金の仮払い制度に比べると迅速性に欠けるというデメリットがあります。
    しかし、保全処分を利用する場合は、払い戻しの上限が設定されていません。他の共同相続人の利益を害しないと認められる場合には、相続人の法定相続分を超える払い戻しが認められる可能性もあります。

  2. (2)遺産分割後

    前述したように、遺産分割前に被相続人の預貯金の払い戻しを受ける方法もありますが、原則として、被相続人の預貯金の払い戻しを受ける場合には、遺産分割が終了した後に行うのが基本です。
    遺産分割協議を行い、相続人全員が遺産分割に合意をした場合には、遺産分割協議書を作成します。そのうえで、金融機関の窓口に必要な書類を提出することによって、預貯金の払い戻しを受けることができます。

    【必要書類の一例】
    • 遺産分割協議書
    • 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
    • 相続人全員の戸籍謄本
    • 印鑑証明書
    • 通帳
    など


    なお、金融機関によっては上記以外の書類を求められることもありますので、事前に該当の金融機関に確認しておくとよいでしょう。

4、相続問題は弁護士に相談を

相続に関して不安がある場合には、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

  1. (1)生前の預貯金の引き出しについてアドバイスを受けることができる

    事情によっては、被相続人の生前に被相続人名義の預貯金の引き出しをしなければならないことがあります。しかし、生前の預貯金の引き出しは、将来の相続トラブルを生むリスクが潜んでいますので、慎重に行う必要があります。

    弁護士に相談をすることによって、将来の相続トラブルを回避するためのアドバイスを受けることができますので、リスクを最小限に抑えることができます

  2. (2)裁判手続に関してサポートしてもらえる

    遺産分割が長期化しそうな場合などには、家庭裁判所の保全処分を利用せざるを得ないというケースもあります。保全処分は、専門的な知識がなければ適切に行うことが難しいため、弁護士のサポートが必要です。
    預貯金の仮払い制度では必要な資金が不足するという事情がある場合には、弁護士に相談のうえ、家庭裁判所の保全処分の手続きを進めるのが良いでしょう。

5、まとめ

被相続人の死亡前に預金の引き出しをすることは、将来の相続トラブルにつながるおそれもあるため、弁護士に相談をしながら慎重に行うことが大切です。また、実際に相続が発生した後、遺産の分割方法などをめぐり相続人同士の話し合いが難航することも少なくありません。そのような場合も、弁護士のサポートがあれば、解決までの道筋を立てやすくなるでしょう。

相続問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスまでお気軽にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、解決までしっかりとサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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