「写真と違う」と抗議を受けた! 景品表示法の優良誤認
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飲食店のメニューやECサイト、広告のチラシなどの写真が、実物よりも豪華に見える場合、法的な責任や罪に問われることはあるのでしょうか。また顧客から「写真と違う」とクレームがきたらどのように対処すればいいのでしょうか。
今後、表示に関する規制はますます厳格に運用されることが予想されます。事前に、どのような法的な責任に問われるのか確認しておくことでリスクに備えましょう。
この記事では、商品の写真が実物と異なる際に問われうる罪や景品表示法について、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説いたします。
1、提供した商品が「写真と違う」際に問われる責任
飲食業やサービス業、小売業などで「商品と写真と違う」といった、クレームが入ってしまうことは珍しくありません。
現物の商品と写真が異なった場合には、以下に問われる可能性があります。
- ① 詐欺罪(刑法)
- ② 債務不履行(民法)
- ③ 優良誤認表示(景品表示法)
具体的なケースを挙げつつ、罪に問われうるケースとペナルティについて解説します。
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(1)詐欺罪のケースと罰則
詐欺罪とは、人をだまして、金銭などの財物や債権などの財産上の利益を得ることをいいます。そのため「だます意図」に基づいて財物なり財産上の利益を得るまでの一連の行為をしていたと立証できないといけません。
したがって、写真と実際の商品の違ったというケースでも、詐欺罪の成立まで立証するのは容易ではありません。
ただし、性能・個数・品質などについて、実際と異なる写真や情報を意図的に掲載してお客さんを引き寄せて利益を得た場合は注意が必要です。こうした相手をだます行為を継続的に行うなどした場合には、詐欺罪が成立する可能性もあります。
詐欺罪が成立すると、10年以下の懲役が科されることになります(刑法第246条)。 -
(2)債務不履行のケースと損害賠償
債務不履行とは、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき」(民法第415条)に該当することをいいます。
そのため、商品の見本となる写真に色味を調整・加工する程度では債務不履行とはいえません。
ただし、牛肉の写真だったのに豚肉が出てきた場合など、全くの別物だったケースでは、債務不履行に該当するといえるでしょう。
このような場合には、牛肉の商品の再提供や、前払い式であれば、商品代金の返還をする必要があります。被害の状況によっては相手から損害賠償請求される可能性もありますので、深刻化を避けるため、速やかな対応をとることが重要です。 -
(3)優良誤認表示のケースと行政処分
優良誤認表示とは、商品などが実際のものよりも著しく優良であることを示す表示(景品表示法第5条第1号)をいいます。
一般的には、広告商品の写真に多少の脚色が入るのは通常のことであり、一般消費者の適切な選択を妨げないとして許容されるものと考えられています。
ただし、本来のままであれば購入しなかったが、加工した写真によって購入を決めた場合など、優良誤認表示として規制の対象にあたる可能性があります。
このような優良誤認表示に該当した場合には、措置命令といった行政処分や刑罰の適用、課徴金といった重い処分を受ける可能性があるため、十分な注意が必要です。
2、特に注意しておきたい景品表示法の3つの規制
景品表示法とは、消費者が不当な表示や景品類で不利益を被らないための法律です。
そのため、広告写真や説明書、パンフレットなども景品表示法の対象になります。販売者が押さえておくべき、景品表示法の表示に関する3つの規制について説明します。
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(1)優良誤認表示とは
前述の通り、優良誤認表示とは、商品やサービスの品質、性能などの内容について、実際よりも優れていると一般消費者に誤認させる表示です。
優良誤認表示は、以下の2つの分類があります。- ① 実際のものよりも著しく優良であると示す表示
- ② 事実に相違して競争事業者のものよりも著しく優良であると示す表示
①は、商品・サービスの品質を、実際のものより優れていると誇張して広告する場合がこれにあたります。
②は、競争事業者が販売する商品と同等、もしくはそれ以下の品質にもかかわらず「最高品質」などと宣伝した場合に該当します。 -
(2)有利誤認表示とは
商品やサービスの価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示が有利誤認表示として禁止されています。たとえば、今だけ安いかのように見せかけたり、ありもしない基準価格を表示すると有利誤認になります。
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(3)指定表示とは
景品表示法には、法に要件が定められている優良誤認表示・有利誤認表示の2つの不当表示のほかに、内閣総理大臣が指定する不当表示があります。
複雑化・高度化した現代の経済社会においては、優良誤認表示・有利誤認表示だけでは、消費者の適正な商品選択を妨げる表示に十分な対応ができないため、内閣総理大臣による「指定表示」が設けられています。
現在は7つの表示が指定されています。- ① 無果汁の清涼飲料水等についての告示
- ② 商品の原産国についての告示
- ③ 消費者信用の融資費用についての告示
- ④ 不動産のおとり広告告示
- ⑤ おとり広告告示
- ⑥ 有料老人ホームについての告示
- ⑦ ステルスマーケティングについての告示
「ステルスマーケティング」とは、広告であることを隠し、クチコミを装って宣伝をするなどのケースで、2023年10月に規制が追加されました。
3、景品表示法の相談は弁護士へ
商品の内容を紹介する写真は、より魅力的に見せようとつい実物よりもきれいに脚色してしまいがちではあります。しかし、景品表示法に違反して行政処分や課徴金の対象になりかねません。
景品表示法への抵触を防ぐためには、景品表示法の理解およびこれまでの事例について知見が集積している弁護士に相談することをおすすめします。
4、まとめ
写真の脚色が行き過ぎていたことで「写真と違う」とクレームが入ってしまった場合は、景品表示法違反の可能性があります。行政処分や課徴金の対象になってしまうと、会社へのインパクトは多大なため、迅速な対応が必要です。
しかし、写真の脚色が違法とならないケースもあるため、判断が難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスでは、景表法をはじめとした企業法務について図時ご相談を受け付けております。景表法の表示についてお困りの際には、お気軽にベリーベスト法律事務所 北千住オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています