離婚調停が不成立に。別居すれば離婚できる? 適切な対応方法とは
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- 離婚調停不成立
- 別居
足立区が公表している統計情報によると、令和4年に足立区内で離婚した夫婦の数は850件でした。
夫婦の話し合いで離婚の合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申し立てをすることができます。だたし、離婚調停が成立するためには、当事者双方の合意が必要になりますので、どちらか一方が離婚に反対している状況では、離婚調停不成立となる可能性があります。
離婚調停不成立になったとしても、離婚裁判によって離婚できる可能性がありますが、その際には法定離婚事由が必要になります。不貞行為のような明確な離婚事由がない場合には、別居期間などを踏まえて「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無から離婚の可否が判断されます。
今回は、離婚調停が不成立になったあとの対応と離婚の可否について、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚調停不成立とは?
離婚調停不成立とは、これ以上離婚調停の場で話し合いを続けても、合意が得られる見込みがない場合に、調停を打ち切り、終了させることをいいます。
離婚調停は、家庭裁判所において離婚の成立を目指す手続きで、調停委員が夫婦の間に入って、話し合いを進めていきます。家庭裁判所の手続きですが、協議離婚と同様に、基本的には話し合いの手続きになりますので、調停を成立させるためには、夫婦双方の合意が必要になります。そのため、以下のようなケースでは、離婚調停不成立になる可能性が高いといえます。
- 相手が離婚を拒否している
- 離婚条件(親権、養育費、慰謝料、財産分与など)に争いがある
- 相手が調停に出席しない
2、離婚調停不成立後に別居。別居をすれば離婚は認められる?
離婚調停不成立になった場合、その後別居をすれば、離婚は認められるのでしょうか。
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(1)離婚裁判では法定離婚事由が必要
離婚調停が不成立になったあと、離婚をしたいという場合には、最終的には離婚裁判によって解決を図ることになります。離婚裁判は、離婚調停とは異なり、夫婦の話し合いではなく、裁判官が離婚の可否を判断してくれますので、相手が離婚を拒否していたとしても離婚が認められる可能性があります。ただし、裁判官が離婚を認めるには、以下の法定離婚事由が存在することが必要になります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
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(2)長期間の別居は法定離婚事由にあたる
離婚調停不成立後に別居をする方もいますが、将来、離婚裁判まで考えている場合には、別居は、離婚を進めるうえでほぼ必須の手段となります。それは、別居期間が法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」において最も重要な要素だからです。
別居をしただけでは直ちに法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとは認められず、別居期間が長期間におよびもう修復が不可能であると評価できる時、婚姻関係が破綻していると認められます。どのくらいの期間別居をすればよいかは、ケース・バイ・ケースですので一概にはいえませんが、婚姻し同居している期間との対比が重要になり、一般論としては5年ぐらいの別居が訴訟も視野に入れるべき期間になってきます。
もちろん、離婚の可否は、単純に別居期間の長短だけではなく、離婚に至るさまざまな事情を考慮して判断がなされる点に注意が必要です。
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3、離婚調停が不成立になったあとに取れる対応方法
離婚調停が不成立になったものの、引き続き離婚を希望するという方は、以下のような対応を検討することができます。
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(1)当事者同士で再度話し合いをする
離婚調停が不成立になったとしても、すぐに離婚裁判をする必要はありません。離婚裁判をするには、法定離婚事由が必要になりますので、明確な法定離婚事由がない場合には、しばらく別居を継続するというのもひとつの方法です。
別居を続けるなかでお互いが離婚に向けて前向きな気持ちになった時点で、話し合いをすることも可能です。離婚調停をしたからといって、夫婦の話し合いが禁止されるというわけではありませんので、離婚調停不成立後に協議離婚によって離婚することもできます。
離婚調停を経ることによって、争点が明確になり、お互いに妥協点が見いだせる可能性もあります。ある程度時間をおいて、一度話し合いの機会を設けてみるとよいでしょう。
なお、当事者同士の話し合いで離婚の合意が成立した場合には、口頭での合意で終わらせるのではなく、必ず離婚協議書の作成を行いましょう。きちんと書面に合意内容を残しておかなければ、後日、合意内容をめぐってトラブルが生じるおそれがあるからです。
また、合意内容に金銭の支払い(養育費、慰謝料、財産分与など)が含まれている場合には、離婚協議書を公正証書にしておくのが安心です。公正証書にしておくことで、将来、相手がお金の支払いを怠った場合に、直ちに強制執行の申し立てを行い、相手の財産を差し押さえることができます。 -
(2)再度離婚調停を申し立てる
離婚調停の申し立て回数には、法律上制限が設けられていません。そのため、離婚調停が不成立になったとしても、再度離婚調停を申し立てることが可能です。
ただし、離婚調停が不成立になった直後に、再度離婚調停を申し立てたとしても、お互いの状況や心境に変化がなければ、再度の離婚調停も不成立になってしまう可能性が高いといえます。再度離婚調停を申し立てる場合には、ある程度の期間をおいてから行うほうがよいでしょう。 -
(3)離婚裁判を行う
離婚調停が不成立になったあとは、離婚裁判を行うというのが一般的な流れです。離婚裁判では、裁判官が、原告および被告の主張立証を踏まえて、離婚の可否や離婚条件などを判断してくれますので、当事者同士の話し合いでは結論が出ない問題でも解決できる可能性があります。
ただし、すでに説明したとおり、離婚裁判で離婚を成立させるには、法定離婚事由が必要になります。不貞行為のような明らかな法定離婚事由がある事案であれば、調停不成立後すぐに離婚裁判を行ってもよいですが、そうでない事案の場合は離婚裁判を行っても離婚が認められない可能性があります。明確な法定離婚事由のない事案では、少しでも離婚成立の可能性を高めるために、ある程度の別居期間を経てから離婚裁判を行うとよいでしょう。
4、離婚調停や離婚に関する問題は弁護士に相談を
離婚調停や離婚に関する問題は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)離婚の可否についてアドバイス可能
当事者同士の話し合いによる協議離婚であれば、お互いの合意があればどのような理由であっても離婚することができます。しかし、どちらか一方が離婚を拒んでいる場合には、法定離婚事由に該当する事情がなければ、離婚を成立させるのは困難です。
法定離婚事由の該当性の有無は、法的判断が必要な事項ですので、法律の知識や経験のない方では正確に判断することが難しいといえます。弁護士に相談をすれば、夫婦の具体的状況を踏まえて、離婚の可否について判断してもらうことができます。また、現状では離婚が難しいという場合でも、別居などによって離婚が可能になる方法をアドバイスしてもらうこともできます。
このまま離婚を進めてもよいのか不安な方は、一度弁護士に相談をして判断してもらうとよいでしょう。 -
(2)相手との話し合いを任せることができる
離婚の話し合いは、精神的にも大きなストレスになります。離婚理由によっては、相手と顔を合わせて話し合いをすること自体に苦痛を感じる方もいるでしょう。
弁護士に依頼をすることで、弁護士が相手との交渉の窓口となって話し合いをすすめていきますので、離婚の話し合いによる精神的負担を大幅に軽減することができます。離婚の話し合いでは、親権、養育費、慰謝料、財産分与といった離婚条件の取り決めも必要になりますが、弁護士に交渉を任せれば、自分で交渉するよりも有利な条件で離婚できる可能性が高くなるでしょう。 -
(3)離婚調停に同席してくれる
離婚調停は、基本的には話し合いの手続きになりますので、本人だけでも対応は可能です。
しかし、多くの方が離婚調停を初めて経験することになりますので、裁判所の調停委員の前でどのような話をすればよいのかわからないという方も多いと思います。
弁護士に依頼をすれば、弁護士が調停期日に同席し、調停委員への対応もサポートしてくれますので、初めての調停でも安心して臨むことができます。調停をスムーズに進めるためには、書面の作成や調停委員への伝え方など押さえておくべきポイントがいくつかありますが、弁護士が代理人に付いてくれればその点のサポートも受けることができます。
5、まとめ
離婚調停は、あくまでも話し合いの手続きになりますので、当事者双方の合意が得られない場合には、調停不成立になります。調停不成立後は、一般的には離婚裁判(訴訟)を検討することになりますが、明確な法定離婚事由がない場合には、しばらく別居するというのも離婚のための有効な手段となります。離婚に必要となる別居期間は、ケース・バイ・ケースですので、目安とある別居期間を知りたいという方は、弁護士に相談することをおすすめします。
離婚調停が不成立となったあとの対応でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています