不倫の問題点とは? 犯罪と不法行為の違いや慰謝料請求について解説
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									東京都の調査によれば、令和6年の離婚件数は2万424組で、前の年より409組増えています。離婚に至った夫婦は、ここ数年増加傾向にあります。
この中には、配偶者の不倫が原因で離婚に至った方もいらっしゃるでしょう。
本コラムでは、配偶者の不倫に悩む方に向けて、不倫の問題点や不倫で慰謝料請求をするときのポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。																										
1、不倫の問題点と犯罪・不法行為の違い
原則として不倫は犯罪ではなく、民法上の不法行為という扱いになります。ここでは犯罪と不法行為の違いや、不倫の問題点について確認していきましょう。
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(1)犯罪と不法行為の違い
犯罪と不法行為は、いずれも法律に触れる行為ですが、根本的に異なります。
犯罪とは、刑法やそのほかの刑罰法規に規定されている刑罰の対象となる行為です。罪を犯し、警察や検察による捜査の結果、有罪となれば、罰金刑や懲役刑などの刑罰が科されます。
一方で、不法行為は、故意または過失によって、他人の権利や法律上保護されている利益を侵害する行為です。不法行為とは何か、また不法行為を行った場合の損害賠償などについては、民法に規定されています。 - 
						
(2)不倫は犯罪ではない
不倫は倫理的に非難される行為であり、社会で問題視されていますが、基本的に犯罪ではありません。現在の日本の法律では、不倫行為自体を刑罰で罰する規定が存在しないためです。
したがって、不倫をしたからといって逮捕されたり、刑罰が科されたりすることはありません。例外として、不倫相手に肉体関係を強要した場合や、未成年者と不倫をして肉体関係をもった場合は刑事罰を受けるおそれがあります。 - 
						
(3)不倫の問題点は民法上の不法行為扱いになること
不倫の主な問題点は、民法上の不法行為として扱われる可能性があることです。
配偶者がいるにもかかわらず、自分の意思で他者と肉体関係をもつ行為は、不貞行為とみなされます。配偶者による不貞行為は民法上の不法行為にあたるため、被害者は配偶者に損害賠償として慰謝料の請求が可能です。ただし、未だに被害者が配偶者と同居している等、夫婦関係が破綻していないことが前提となります。(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。不貞行為は、裁判で離婚が認められる要件である「法定離婚事由」のひとつでもあります。不倫によって民事上の責任を負う可能性がある点や、法定離婚事由にあたる点は押さえておくべきポイントです。
 
2、不倫で不法行為が成立するケースとしないケース
不倫は民法上の不法行為にあたる可能性がありますが、不倫相手に関してはすべてのケースで不法行為が成立するわけではありません。不倫で不倫相手に不法行為が成立するケースとしないケースについて、以下で解説していきます。
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(1)不法行為が成立する可能性が高いケース
不倫が民法上の不法行為として成立する事例には、以下のようなケースがあります。
- 既婚者と知りながら性行為をした場合
 - 不倫相手と同居していた場合
 - 旅行や自宅に泊まるなど、連日二人きりで過ごしていた場合
 
基本的には肉体関係があったかどうか、また不倫相手が既婚者であると知っていたかどうかが判断基準です。ただし、抱き合う・キスをするといった接触だけであっても、交際期間や頻度などによっては準不貞行為とされて不法行為となる可能性もあります。
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(2)不法行為にあたらないとされる可能性が高いケース
以下のようなケースでは、不倫が不法行為として認められない可能性が高いです。
- 公共の場でデートはしていたものの、肉体関係がなかった場合
 - 既婚者と知らずに肉体関係をもっていた場合
 - 夫婦関係がすでに破綻していた場合
 
二人きりで食事をする・映画に行くなどの行動だけでは、不法行為として認められるのは困難です。既婚者と知らずに、疑うべき状況にもなかった場合は、不法行為における過失が認められないため成立しません。
別居しているなど、すでに夫婦関係が破綻していると考えられる場合も、不法行為にあたらない可能性が高いです。 
お問い合わせください。
3、不倫を理由に慰謝料請求をするときのポイント
不倫が原因で精神的苦痛を受けた場合、配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求ができます。しかし、慰謝料を請求するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが重要です。
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(1)証拠がなければ慰謝料請求は難しい
不倫を証明できる証拠がなければ、慰謝料請求は難しくなります。慰謝料を請求するためには、相手が不法行為をした事実を裏付ける証拠が重要です。
たとえば、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りしている写真があれば、慰謝料請求が認められやすくなります。そのほかにも、肉体関係があるとわかるチャットやメールのやり取り・写真・動画・録音なども有効な証拠です。
本人に問い詰めて認めさせようとするのは逆効果になる可能性があるため、証拠集めは慎重に行いましょう。 - 
						
(2)不法行為に対する慰謝料請求には時効がある
不法行為に対する慰謝料請求には、時効が存在します。損害賠償請求権の時効は、不法行為を知ったときから3年間、もしくは不法行為があったときから20年間です。
不倫の証拠がそろっていたとしても、時効が成立してしまうと原則として慰謝料の請求ができません。そのため、不倫の事実に気づいて慰謝料請求をする場合は、時効が成立する前に証拠を集めて請求を行う必要があります。 - 
						
(3)不倫慰謝料の相場
不倫による慰謝料の相場は、具体的な状況により増減します。
慰謝料の金額は、結婚年数や不倫期間、精神的苦痛の程度などさまざまな要素を考慮して決定されるのが一般的です。請求された側の経済状況や、被害者側の要求も金額に影響を与える場合があります。
また、慰謝料は配偶者と不倫相手、どちらか一方のみに請求することも可能ですが、離婚する場合は両方に請求するのが良いでしょう。離婚せずに不倫相手にのみ請求する場合は、夫婦の財布は1つであり、配偶者に請求する意味がないという観点がありますが、もちろん離婚しない場合でも配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することはできます。
弁護士であれば、お客さまのケースで慰謝料がどのくらいとなるか判断できます。相談時に確認してみましょう。 
4、不倫問題で弁護士ができる4つのサポート
不倫問題に直面すると、感情的な混乱や証拠集めの不安がともないます。そのような状況になった場合には、弁護士からのサポートを検討してみましょう。
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(1)証拠集めに関するアドバイス
弁護士は、不倫の証拠集めに関するアドバイスができます。
不倫関係にある当事者は基本的に隠し通そうとするため、自分自身で証拠を集めるのは簡単ではありません。また、証拠を集めようとする過程で、不正アクセス禁止法違反やプライバシー侵害にあたる行為をしてしまう恐れもあります。
弁護士に相談すれば、どの証拠をどのように収集すべきか、その際に注意すべき点があるかなど細かい部分までサポートしてくれます。不倫を立証するための適切な証拠を集めるなら、まずは弁護士への相談を検討しましょう。 - 
						
(2)事案に応じた適切な慰謝料請求
弁護士に依頼すると、個別の事案に応じた慰謝料を請求できます。不倫の慰謝料相場には幅があるため、お客さま自身で請求するとその金額に過不足が出てしまう可能性もあります。
この点、弁護士であれば、法律の知識と経験を生かし、過去の判例や相場にもとづいて、依頼者が受けた精神的苦痛に対する正当な賠償を求めることができます。また、慰謝料請求書の作成や内容証明郵便の送付についても弁護士が代行できるため、安心して任せられるでしょう。 - 
						
(3)相手方との交渉の代行
弁護士は、相手方との交渉の代行が可能です。
配偶者や不倫相手、相手方弁護士との直接交渉は、精神的な負担が大きくなりがちです。弁護士は依頼者の代理として交渉を行えるため、直接会わなくても慰謝料を請求できます。
不倫をした配偶者や不倫相手と顔を合わせたくない場合、弁護士への相談は有効な手段といえるでしょう。また、弁護士は法的根拠にもとづいた主張を行えるため、自分で交渉するよりも有利な結果を期待できます。 - 
						
(4)離婚に発展する場合の対応
不倫問題が原因で離婚に発展する場合、弁護士の専門知識にもとづくサポートは欠かせません。
婚姻関係を解消する際は慰謝料だけでなく、財産分与や親権・養育費などさまざまな取り決めが必要になるためです。離婚後に後悔しないために、離婚にともなう条件の決定は慎重に行いましょう。
もし交渉で折り合いがつかず、調停や訴訟に移行する場合でも、弁護士に依頼していれば手続きや対応を任せられるため安心です。 
お問い合わせください。
5、まとめ
					不倫そのものは犯罪ではありませんが、民法上の不法行為として慰謝料請求の対象となる可能性があります。慰謝料を請求するためには、証拠をもとに不倫の事実を主張・立証することが重要です。
					
					ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスでは、法律知識や実務経験を豊富にもつ弁護士が、問題解決に向けて丁寧にサポートします。不倫問題への対応に悩んだら、お気軽に当事務所までご相談ください。
				
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
 
				
		
		