リモート不倫をされたときに、離婚や慰謝料を請求するための注意点

2023年08月24日
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リモート不倫をされたときに、離婚や慰謝料を請求するための注意点

コロナ禍をきっかけにリモートワークを導入する企業も増えてきています。それに伴い、「リモート不倫」を行う人も増えてきているようです。

リモート不倫とは、オンラインデートをしたり、在宅勤務中に自宅に不倫相手を連れ込むなど、リモートワークをきっかけにした不倫の総称です。

本コラムでは、リモート不倫をされたときに離婚する方法や、慰謝料を請求する際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。

1、リモートワークで不倫が起こる理由

まず、リモートワークで不倫が起きる理由について解説します。

  1. (1)在宅時間が増えることによるストレス

    リモートワークで在宅勤務になると、平日の日中も自宅で夫婦が顔を合わせる機会が増えることになります。
    夫婦によっては、普段よりも一緒にいる時間が増えることにお互いの言動や細かい点が気になり、だんだんとストレスに感じることも増えてきます。
    また、オフィス勤務であれば通勤や得意先の訪問などで外出する機会がありますが、リモートワークではそのような機会がなく、気分転換できないこともストレスの原因となります。

    このようなストレスが増えると夫婦仲が険悪になったことから、不倫をしてしまう方がいるのです

  2. (2)出社すると偽って不倫相手に会いに行ける

    リモートによる在宅勤務とオフィス勤務が併用されている場合には、自分の裁量によって在宅勤務かオフィス勤務かを選ぶことができます。
    このような勤務形態であれば、実際は職場に出社する必要がないにもかかわらず、出社と偽って不倫相手に会いに行くこともできてしまいます。

    従来のオフィス勤務であれば、不倫相手に会うのは就業後か休日に限られますが、リモートワークであれば平日の昼間から不倫相手に会うこともできるため、不倫のハードルが下がったといえます

  3. (3)オンライン会議と称してオンラインデートができる

    テレワークでは頻繁にオンライン会議が開催されていますので、密室で会話をしていても不自然ではありません。
    「仕事に集中したいから」といって、家族を部屋から遠ざけておけば、オンライン会議と称して不倫相手とオンラインデートを行うことができます。

    コロナ禍で不倫相手と会う機会が減ったとしても、オンラインデートというツールによって、むしろコミュニケーションの機会が増えた事例もあるのです

2、不倫した配偶者と別れる方法は?

以下では、不倫した配偶者と別れる方法を解説します。

  1. (1)協議離婚

    不倫した配偶者と離婚する場合は、まずはお互いの話し合いによって離婚をするかどうかを決めることになります
    このような方法を「協議離婚」といいます。

    不貞行為をした配偶者には、不倫慰謝料の請求ができるため、離婚するかどうかだけでなく慰謝料の支払いについても話し合う必要があります。
    お互いに離婚や離婚条件で合意が成立すれば、離婚届に記入して役場に提出することで、離婚が成立します。

    なお、慰謝料の支払いに関する取り決めをした場合には、離婚協議書を作成し、慰謝料に関する条項を定めておきましょう
    また、離婚協議書を公正証書にしておければ、仮に相手方が慰謝料を払わなかった場合にも相手の財産に対して強制執行をかけて、慰謝料を支払わせることができます。

  2. (2)調停離婚

    当事者の話し合いでは離婚の合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てをします

    調停も協議離婚と同様に話し合いの手続きになりますが、裁判所の調停委員が関与して話し合いを進めてくれるため、当事者だけの話し合いでは解決できない場合でも調停で解決できる可能性があります。
    調停で離婚の合意に至った場合には、その内容が調停調書にまとめられます。
    なお、役場に離婚届を提出する際には、裁判所から交付された調停調書謄本が必要になります。

  3. (3)裁判離婚

    調停でも離婚の合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に離婚裁判を起こす必要があります
    離婚裁判では、協議離婚や調停離婚のような話し合いの手続きではなく、裁判官が離婚を認めるかどうかを判断します。
    その際に重要になるのが、民法が定める「法定離婚事由」の有無です

    以下のような法定離婚事由がなければ、裁判官に離婚を認めてもらうことはできません。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    配偶者が不倫をした場合には、法定離婚事由である「不貞行為」に該当しますので、不貞行為があったことを証拠により立証できれば、離婚できる可能性が高いでしょう。

3、リモート不倫をされたときの注意点

リモート不倫をされたときには、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)オンラインデートのみで性交渉がなければ法定離婚事由にはならない

    法定離婚事由のひとつである「不貞行為」とは、配偶者以外の人物との間で肉体関係を持つことをいえいます。
    リモート不倫では、性交渉を伴わないオンラインデートが行われることがありますが、そのようなオンラインデートだけの関係であった場合には不貞行為とはいえません。

    オンラインデートのみで性交渉がなければ法定離婚事由にも該当せず、裁判離婚をすることは難しいでしょう

  2. (2)不倫相手に慰謝料請求するには「既婚者であること」を知っていることが必要

    配偶者が不倫をした場合には、不倫をした配偶者だけでなく不倫相手に対しても慰謝料請求をすることができます。
    しかし、不倫相手に対して慰謝料を請求する場合には、不倫相手が「既婚者であること」を知っていることが必要になります。

    不倫相手が友人や職場の同僚などであれば、既婚者であることを知っている可能性が高いですが、マッチングアプリなどで出会った相手であれば既婚者であることを知らずに不倫関係になった可能性もあります。
    「不倫相手が既婚者であることを知っていた」ということは、慰謝料を請求する側が立証しなければならない点に注意してください

  3. (3)離婚や慰謝料請求には証拠が重要

    配偶者の不倫を理由に離婚や慰謝料請求をするには、離婚や慰謝料請求をする側で、配偶者の不貞行為を証明しなければなりません。
    不貞行為を証明する証拠がなければ離婚や慰謝料請求ができない可能性がありますので、証拠は非常に重要となります

    不貞行為の直接の証拠としては、性行為をしている状況の動画や写真になりますが、そのような証拠が残されていることはほとんどありません。
    そのため、一般的には、以下のような証拠を複数集めることによって、不倫関係にあったことを立証していくことになります。

    • ホテルや不倫相手の自宅に入る状況の動画や写真
    • 不倫相手との肉体関係をにおわすメールやLINE
    • 探偵や興信所の調査報告書

4、リモート不倫されたら弁護士に相談

もし配偶者にリモート不倫された場合には、弁護士に相談してください。

  1. (1)リモート不倫の立証に必要な証拠をアドバイスしてもらえる

    リモート不倫を理由に離婚や慰謝料請求するためには、不貞行為の証拠を集めることが重要です。
    しかし、どのような証拠があれば不貞行為を立証できるのかは、具体的なケースによって異なってきます。

    離婚や慰謝料請求を確実に行えるようにするためにも、配偶者に離婚を切り出す前に弁護士に相談して、不貞行為の立証に必要となる証拠をアドバイスしてもらうとよいでしょう

  2. (2)離婚や慰謝料請求の対応を任せられる

    不貞行為をした配偶者や不倫相手と直接顔を合わせて話し合いをするのには嫌悪感を抱く方も少なくありません。

    弁護士であれば、本人に代わって、不倫をした配偶者や不倫相手との交渉を行うことができますので、相手側と直接顔を合わせなければならないというストレスを軽減できます。
    また、弁護士が交渉を担当することにより、相場をふまえて適切な金額で慰謝料を請求して、金額について合意できる可能性が高くなります

  3. (3)調停や裁判になった場合でもサポート可能

    配偶者が不倫を認めない場合には、話し合いでの解決は困難であるため、家庭裁判所の調停や裁判などの法的手続きにより解決を図る必要があります。

    調停は話し合いの手続きですが、初めての調停では緊張や不安から自分の言いたいことを十分に伝えられないこともあります。
    弁護士に依頼すれば、調停期日に同席してもらいサポートを受けることができるため、自分に有利な主張を的確に伝えることができるでしょう。
    また、裁判になった場合には、証拠に基づきながら法律的な主張を展開していく必要があります。
    一般の方には非常に困難な作業であるため、弁護士のサポートがなければ裁判手続きを適切に進めていくことは難しいといえます。
    交渉が難航したら、できるだけ早い段階から弁護士に相談しましょう

5、まとめ

コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及したことにより、リモート不倫やテレワーク不倫と呼ばれる新しいかたちの不倫が行われるようになりました。

肉体関係を伴っている場合には、法定離婚事由に該当しますので、裁判によって離婚や慰謝料を求めていくことができます。
ただし、裁判によって離婚したり慰謝料を請求したりするためには、不貞行為の事実を裏付ける証拠が不可欠となります。
どのような証拠が必要であるかを判断するためにも、配偶者にリモート不倫をされてしまって離婚を検討されている方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています