借金を帳消しにできる方法はある? 放置することの注意点も解説

2023年07月13日
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借金を帳消しにできる方法はある? 放置することの注意点も解説

借金を繰り返しているうちに、返済できないほど借金が膨れ上がってしまった、という状況に悩まされている方は多々おられます。

債務整理をすれば、合法的な方法によって借金を帳消しにできる可能性があります。また、返済が可能な程度まで借金を減額するという方法もあります。借金の返済ができないからといって放置しているとさまざまなリスクが生じてしまうため、「返済が困難である」と感じたら、早めに債務整理を検討しましょう。

本コラムでは、借金を帳消しにする方法とその注意点について、ベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの弁護士が解説します。

1、借金を帳消しにする方法

借金を帳消しにすることができる方法としては、以下のようなものがあります。

  1. (1)自己破産

    自己破産とは、裁判所を通して行う債務整理の一種です。

    裁判所から免責許可決定が得られれば、借金の支払義務を免れることができます。
    つまり、自己破産をすれば、基本的にはすべての借金を帳消しにすることができるのです。

    ① 自己破産の要件
    自己破産をするためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 支払不能であること
    • 免責不許可事由に該当しないこと


    支払不能とは、破産手続開始決定を受けるための要件であり、「資産や収入からみて借金を返済することができない状態」にあることをいいます。
    多額の借金を抱えて、返済ができない状態にあれば、支払不能といえる可能性が高いでしょう。

    もっとも、借金の原因がギャンブルや浪費であった場合には、破産法上の「免責不許可事由」に該当するため、原則として借金を帳消しにすることはできません
    ただし、免責不許可事由に該当しても、一切の事情を考慮して裁判所から裁量免責を受けられる可能性はあります。

    ② 自己破産のメリット・デメリット
    自己破産の最大のメリットは、ほとんどの借金を帳消しにすることができるという点です。借金の悩みを根本から解決することができるため、自己破産によって新たな気持ちで再出発を図ることができます。

    ただし、自己破産をすることには、一定以上の価値のある財産については、基本的にすべて処分しなければならないというデメリットもあります。
    また、信用情報機関のデータベースには、自己破産に関する情報が載ることになりますので、そこから一定の期間は新しくカードを作ったり、ローンを組んだりすることは難しくなります。この点は、後述する任意整理、個人再生の手続きを採った場合でも、同様に注意すべき点です。

    とはいえ、生活に必要となる財産については破産後も手元に残すことができますので、生活の立て直しの支障になることはありません

  2. (2)消滅時効の成立

    借金があったとしても、一定期間取引がない場合には、消滅時効を援用することによって借金を帳消しにすることが可能です。

    ① 時効の成立要件
    消滅時効によって借金を帳消しにするためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 返済期日または最後の返済から5年が経過
    • 時効の援用


    借金の消滅時効期間は原則として5年であるため、返済期日または最後の返済から5年が経過していれば消滅時効は成立します。
    ただし、5年が経過する前に債権者から時効の更新や完成猶予の措置がとられた場合には、時効期間はストップまたはリセットされてしまいます。具体的には、カード会社から訴えが提起されたり、こちらから、債権者に対して、支払日について連絡したりする行為が影響してきます。

    また、消滅時効期間が経過しただけでは、自動的に借金が帳消しになるわけではありません。借金を帳消しにするためには、時効の援用という意思表示が必要になります
    時効の援用は、後のトラブルを予防するために、内容証明郵便を利用した書面による方法で行うようにしましょう。

    ② 消滅時効のメリット・デメリット
    消滅時効は、債権者に対する時効援用の意思表示だけで成立するため、自己破産のように裁判所を通す手続きが必要ないという点がメリットといえます。

    ただし、消滅時効の効果は個々の債権者からの借金ごとに判断されるため、自己破産のようにすべての借金を帳消しにする効果まではありません
    また、時効の完成の判断を見誤ってしまうと、多額の遅延損額金を含めた借金の一括返済を債権者から求められるというリスクがありま

2、借金を減額できる方法もある

以下では、帳消しにまではしないが借金を減額する方法について解説します。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは、債権者と交渉して、返済方法の変更や支払期限の猶予、将来利息のカットなどを求めていく方法です。
    月々の返済で生活が苦しいという方は、任意整理をすることによって、月々の返済負担を軽減しながら借金の完済を目指すことができます。

    任意整理には自己破産のように借金を帳消しにする効果まではなく、最低でも元本は返済することになります。しかし、裁判所を介さずに手続きを進めることができるため、債務整理の対象にする債権者を自由に選択できるというメリットがあります。

    とくに以下のような場合には、自己破産よりも任意整理のほうが適しているでしょう

    • 保証人に迷惑をかけたくない
    • 自動車ローンの残っている車を手放したくない
    • 自宅を維持したまま債務整理をしたい
    • 家族に借金のことは内緒にしたい


  2. (2)個人再生

    個人再生とは、裁判所を通して行う債務整理の一種であり、裁判所から再生計画の認可を受けることで借金総額を減額して、それを3年~5年ほどかけて分割で返済していく方法です。
    任意整理では支払方法の変更などが主になるため、借金総額の減額までは期待できませんが、個人再生は借金総額を大幅に減額することができます。

    また、個人再生では自己破産とは異なり財産を手放す必要がなく、免責不許可事由という概念もありません。
    したがって、以下のような場合には、自己破産よりも個人再生のほうが適切であるといえます

    • 財産を手放すことなく債務整理をしたい
    • ギャンブルや浪費が原因の借金がほとんどである
    • 住宅ローンが残っているものの、自宅を手放したくない


3、違法な金利による貸し付けはそもそも返済する必要がない

違法な金利による貸し付けを受けている場合には、返済する必要はありません。

  1. (1)闇金からの借り入れは法的返済義務がない

    闇金とは、出資法に違反するような高金利で貸し付けを行う業者や貸金業法で義務付けられている貸金業登録をしないで貸し付けを行う業者のことをいいます。
    利息制限法では、借入金額に応じて、以下のような上限金利が定められています。

    • 元本が10万円以内:年20%
    • 元本が10万円~100万円未満:年18%
    • 元本が100万円以上:年15%


    利息制限法が定める上限金利を超えていた場合には、超える部分の利息は無効になりますので返済義務はありません。
    また、年利が109.5%を超えている場合には契約自体が無効になりますので、元本を含めて一切返済をする必要はないのです

  2. (2)闇金への対応の注意点

    無登録かつ違法な高金利で貸し出しを行う闇金業者には、返済をする必要はありません。
    しかし、自分の判断だけで返済をストップしてしまうと、闇金業者から以下のようないやがらせを受けるおそれがあります。

    • 深夜早朝のしつこい電話
    • 自宅や職場へのいやがらせ電話
    • 自宅に押し掛けてくる
    • 救急車や消防車を呼ばれる


    闇金業者にひとりで対応するのは非常に危険であるため、弁護士や警察などのしかるべき機関に相談しましょう

4、借金の放置は危険! 滞納し続けるリスク

時効で帳消しになるからといって、借金を放置するのは危険です。
以下では、借金を放置することのリスクについて解説します。

  1. (1)遅延損害金の増加

    借金の返済期限を過ぎてしまうと、遅延損害金というペナルティーが生じます。
    基本的には、遅延損害金の利率は借金の利息よりも高く設定されているため、借金の滞納を続けていると、高額な遅延損害金を請求されるおそれがあります。

    時効が成立すれば元本だけでなく利息や遅延損害金についても帳消しになりますが、多くの貸金業者は、時効完成前に訴訟提起などによって時効の完成猶予や更新を行ってきます。そのため、「時効で帳消しになるから」と思って借金を放置することは、非常にリスクが高いといえます

  2. (2)強制執行による財産の差し押さえ

    借金の滞納を続けていると、債権者から支払督促の申し立てや訴訟提起がなされます。
    そして、借金をしたという事実が存在するなら、基本的には債権者の言い分どおりの判決が下されることになります。

    仮執行宣言付き支払督促の発付や判決言い渡し後も滞納を続けていると、債権者から強制執行が申し立てられ、債務者の預貯金や給料、不動産といった財産が差し押さえられてしまうリスクがあります。
    財産が差し押さえられてしまうと、強制的に給与の数割が債権者に回収され、生活費が不足したり、職場に借金の存在がバレてしまったりするなど、さまざまな不都合が生じることになるでしょう

5、まとめ

借金の返済ができない状況になった場合には、自己破産や消滅時効の援用によって、借金を帳消しにできる可能性があります。
また、任意整理や個人再生によって、借金の返済負担を軽減できる場合もあります。

借金の問題を解決するためには、自身の状況に合致した、適切な手続きを選択することが重要です。
ご自身の判断で手続きを進める前に、専門家である弁護士に相談しましょう。
借金でお困りの方は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています